2017/03/01 02:36

 
 何かに集中をすると、どうも電磁波を発しているようです。身の回りにある物、特に電化製品に異変が出てきます。
 例えば、プリンターが壊れたり、チューナーが壊れたり、オーディオインターフェイスがいきなり咳き込んで、思いのほか重篤で、そのままお亡くなりになっ たり、扇風機が頸椎を痛めて首を振らなくなったり、冷蔵庫が過酷な労働と不甲斐ない賃金に堪え兼ねてサボタージュをしたり、電子レンジが宇宙に戻りたがっ て、戻る許可を与えない僕に(宇宙に帰られては経済的に困る)強烈なビンタを食らわせたり・・・・

 とにかく、色々なことが起こるのです。人のことを妙に好きになったり、嫌いになったり、薔薇の花をプレゼントしたくなったり、徹底的に破壊したくなったり、便秘になったり・・・・

 長い文章を書くことに取り組んでいました。
 先週の金曜の朝でした。木曜の晩、遅くまで(飲みながら)ずっとパソコンに向かっていたのです・・・・これは、こうだ。とか、あれは、どうだ・・・・と か・・・・そのまま寝てしまったのですが、そういう朝は考えが続いている中で目が覚める。すごいですね、脳って。脳は時折、脳の夢を見るのだろう か?・・・・とにかく、あるアイデアを思いついて目が覚める・・・・這いつくばってパソコンを立ち上げ、二日酔いの重たい全身を奮い起こし────

 文章を書き出すとおかしいのです。例えば「信仰」と打ったつもりが「しこう」になっている。例えば「表情」と打とうとすると、「ようじょう」になってし まう・・・・「N」のキーと「H」のキーが反応をしない・・・・何度押しても全然反応をしない。パパからもらったクラーリネット、ではないです か?・・・・夕べ、お酒でもこぼした?全然、覚えてないけれど。僕は、この文章をこの土日までに仕上げる必要がある。困った。困った時の楽天市場。日曜に は絶対に届くように中古のキーボードを注文しました。
 
 その日の晩です。試しにキーボードを打ってみる、「開いた開いた」と打とうとすると「いらいたいらいた」になる。「H」のキーは壊れたようです。そし て、「信仰」と打とうとすると、あれ「信仰」と表示される。「んんんんんん」nnnnnn、あら「N」のキーは復活をしておるぞ!!なんだこれは──── と試していると、やはりおかしい。「ようつべ」と打とうとすると、「おうつべ」と表示されている!!今度は「Y」のキーが使えない・・・・上に移動をして いる。なんだ、キーボードの下に住む、およそ時速5mmほどのアメーバが、徐々に場所を変えておるのか?

 翌朝です。先週の土曜の朝。美しい朝でした。いつものように二日酔いの頭を抱えてパソコンを立ち上げ、あれ、「表情」は「ようじょう」になるんだっけ? で、「開いた開いた」は「いらいたいらいた」になるんだけっけかな?じゃぁ、「ヒヤルロンサン」はなんて表示されるんだろう、などと思っていると、「表 情」は「表情」と表示される。「信仰」はもちろん「信仰」だ。「開いた開いた」は「開いた開いた」で・・・・直っとるじゃぁ、ないか!!(実際にそのキー ボードで、この文章を書いています。)僕は、もちろん一気呵成、その日の晩に、文章を書き上げました。

 日曜の朝。晴れた、清々しい朝。確実にやってくる希望、それは温かくなるという希望。確実にやってくる春を感じさせる朝でした。新しいキーボードが届きました。

 2台のキーボードを前に、今、新しい感慨にふけっています。僕が何かに集中をすると、きっと電磁波のようなものを発して、身の回りの電化製品を破壊し、そして結局、便秘になる。

 さて、大切な宣伝をひとつ。
 水道橋商店街近くに「イカロスの森」という小劇場があります。そこは普段「芝居」を中心に公演している「小屋」ですが、そこで1年間、一ヶ月に一度ずつ 公演をさせてもらうことになりました。企画としては、何年か前からあったのです。しかし断っていました。その才能がない、と思っていたのです。しかし、今 回やりたいと思いました。ひとつは、昨年「イカロスの森」を主宰していた一本どっこさんが亡くなったこと。亡くなる前に仰ったそうです。吉俣の1年公演は やりたかった・・・・そして、もうひとつは、それは僕の挑戦だから。今日でもその才能があるとは思っていません。が、そこで断っていたらいつまでもできな い・・・・そう、「詩とは行為」である、というアレハンドロ・ホドロフスキーの言葉を、心の底から理解できるかどうか?・・・・僕は、もう試されている。

 同じ歌を歌うだけなら簡単ですが、もちろん、そうではないものにしたいと思っています。それは、希望に満ちた、可能性を閉ざすことのない、世界に繋がる ユーモアのある、無限のもの・・・・無限に近いものでありたいと思っています。そのための長い文章を書いていて、おそらくそれは、来月に印刷されます。僕 は、人生で何百、何千と多種多様なフライヤーを見てきましたが、こんなフライヤーは見たことがない。アマゾン川のように大きくて恐ろしく慈愛に満ちたもの になる、気がしないでなくなくもないではありません。

 忙しい1年が始まります。
 とりあえずの宣伝として。あなたと、その夜を過ごしたい。お時間ありましたら、ぜひ。

 吉俣耕二 ・ E=
 at イカロスの森 act call 20:00

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2017年5月10日(水)昔々、ひとりの音楽家がいた

   6月14日(水)この恋のこと
     
   7月12日(水)保存 with 木村佐和子
     
   8月5日(土)夏の花’17
   8月6日(日)夏の花’17

   10月11日(水)LOVE胡椒 with ヒラタユウイチ&ナカノサヤカ

   11月 8日(水)コンヤ、キミノ with ミナトノヨーコ

   12月13日(水)君は海を見たか?

2018年1月10日(水) i

   2月14日(水)アポジーとペリジー

   3月14日(水)月と六ペンス
 
   4月11日(水)淼々と with Aya Nishimura

 
  詳しくは、「イカロスの森」
  http://www.ikarosu.com/index.html
  あるいは、海猫山猫、つまり僕へ。